Author Archives: teamriyo

ミニ・スプリクト(ミニ脚本) miniscript

数分間、ときには数秒間のような短時間に起こる一連の行動で、人生のパターン(脚本)を強化する結果になるもの。

このうち、非建設的な脚本と連携するタイプは次の四つを含むもので、ドライバーを始点として図のように動く。

1.D:ドライバー(対抗禁止令)

2.S:ストッパー(禁止令)

3.VC:Cの反撃(ACの反抗的部分)

4.FMP:最終結末(自他否定的な構え)

ミニ脚本は、脚本を一つの行動システムととらえ、その誘因、原因、持続因、結果の各因子の相互関係をあきらかにしたものである。
とくに、対抗禁止令が禁止令の引き金、あるいは誘因の役割を果たすという考えが、理論の中核となる。

→ドライバー

 

ミニ脚本(not OKタイプ)の進行過程

ミニ脚本(not OKタイプ)の進行過程

三つのP 3P’s

脚本分析において、クライエントが再決断を行い、治療契約を達成するのを援助するにあたって、有能な治療者が用いる次の三つの基本的な治療概念をいう。

1.     Permission(許可):クライエントに幼時の禁止令を放棄して、脚本から自由になっても宜しいという命令を与える。

2.     Protection(保護):ラケット、ゲーム、脚本を捨てた後の恐怖や混乱からクライエントを守る。

3.     Potency(能力):禁止令に優る効力をもって許可を与え、困難な治療状況に対応する力を示す。

→許可、保護、能力

「…まで」式の脚本 the “until” scrpt

苦労性の人が演じる脚本で、あることを達成するまでに幸福になるまい、という類の幼時決断に従って生きているもの。

「親を楽にさせるまでは…」とか、「子供が結婚するまでは…」といった条件を自分に課して、本当の自分を生きようとせず、真の自己実現を回避しているもの。

→脚本分析

ホメオスタシス homeostasis

生体の内部環境は、生理学的な協調反応により、その恒常状態が維持されている。

体温を調節する発汗作用、血中の水素イオン濃度の制御など、その例は数限りない。

このような生命維持に不可欠な動的平衡状態は、米国の生理学者キャノン,W.B(Cannon,W.B)によってホメオスタシスと名づけられ、今日、とくに心身医学においては、生体の適応の問題を考える場合の基本概念になっている。

ゲシュタルト療法の創始者パールズ,Fはホメオスタシスを生体が欲求を充足させる過程としてとらえ、その働きは自己調節の過程(生体が外界と関わることを可能にさせている過程)である、と考えた。

また、彼は生理的ホメオスタシスと平行して、人には心理的ホメオスタシスの過程が作用していることを明らかにしている。

人は心理的に接触していたいという「コンタクト欲求」を持っており、心理的平衡が脅かされるときに感じられる。
この心理的欲求は、心理的ホメオスタシスの過程によって充足される、という説を提唱している。

これは交流分析の理論の一つであるストロークの欲求と通じるものである。
これらの生理・心理的ホメオスタシスの考え方は、交流分析・ゲシュタルト療法を行なううえでの基礎理論になっている。

→ゲシュタルト療法

ホットポテト hot potato

イングリッシュ,F(English,F)がエピスクリプトの内容を示すのに使った用語。

ゆでたてのジャガイモを手に持ったとき、熱いのですぐに隣の人に渡してしまうと、その人がまたこちらにジャガイモを手渡してくる、という繰り返しが行なわれる。

エピスプリクトもこれに似て、親が避けたい脚本のメッセージを、何代にも渡って暗に子供に受け継がせていくことが多い。

→エピスプリクト

保護 protection

治療者に要求される三つのPといわれる能力の一つ。

精神病理は心身医学の十分な学習と治療体験に加え、集団療法の過程の知識を持つことによって、クライエントに支持と安定感を与える能力をいう。

バーン,Eは、とくに集団をシステムとみなし、集団の内側と外部にあるいくつかの境界を明確にし、また管理と治療の役割葛藤(精神分析でいうATスプリット)を統御する能力を重視している。

また、治療がもたらす危機状況に介入し、クライエントを保護する能力も求められる。

→三つのP

防衛機制 defense mechanism

防衛とは、交流分析的に言えば、ストローク(愛、承認)の飢餓、自己価値(肯定的構え)の低下、「批判的な親」(CP、超自我)の非難、また、それらがもたらす不快感情(ラケット感情)など、心の危機を防衛するために、自我が活動的に戦っていることをいう。

防衛機制は、心の危険を払いのけるために自我機能が用いる方法である。

精神分析では10ないし15の防衛機制を識別しているが、交流分析ではそれらをP、A、Cを用いて記述することが可能となる。

 

防衛機制モデル

防衛機制モデル

ファンタジー(空想、幻想) fantasy

人が想像の中で行なう願望充足の一つの方法で、ふつう白昼夢の形をとる。

意識的なファンタジーの内容とセックス、復讐、失敗、償い、暴力、破壊行動、大成功、名声、承認などが代表的で、精神分析では快感を呼ぶ感覚と、他者との経験の記憶とが結びついた結果として起こると考えられている。

また、ファンタジーには無意識なものがあるが、それは主に精神・性的発達段階に発言する本能衝動や、その防衛に関連した空想的なシナリオや表象である。

 

交流分析・ゲシュタルト療法でもファンタジーは重視されており、内的にシンボルを用いる精神的活動とされる。パールズ,Fは、ファンタジーは、いわば縮図の上に現実を再現して理解の手がかりとする精神的活動であるという。

例えば、人が何らかの問題に遭遇したとき、空想をめぐらして行動を決める手がかりとする。

その場合、「て(・)こ(・)の原理」に似て、わずかな内的エネルギーの消費で、結果的に効率のよい、大きなエネルギーを生み出すことができるのである。

再決断療法の過程では、楽しい空想(FC)を駆使して問題解決を図る「イメジャリー法」が用いられている。

→ゲシュタルト療法、ゲシュタルト技法

表面的交流 social-level message

裏面的交流において同時に発信される二つのメッセージのうち、言葉による明白なメッセージをいう。

 

社交レベルのメッセージとも呼ばれ、ふつう実践で示される。ほとんどの場合、社交レベルのメッセージの内容はAからAに伝達され、表向きのストレートな刺激となる。

この交流に発信者自身についての脚本化された心理レベルのメッセージ(秘密のメッセージ)が伴うと、ゲームへと発展する。

→心理的ゲーム

批判的な親 critical parent(CP)

親の自我状態のうち、自分の考え方や価値観を正しいものとし、主として批判や非難を行なう部分。

生活するうえで必要な規制などを人に教える働きもする。

 

このPが強すぎると、支配的な態度、命令的な口調、ほめるより責める傾向などが全面的に出やすい。俗にワンマンと言われるタイプとなる。

批判的なPは、宗教、伝統、性別、政治などについても、自分なりの意見に基づき、必ずしも事実にそぐわない形で、行動基準を設定しようとする。

→親の自我状態

 

 

批判的な親

批判的な親