Author Archives: teamriyo

裏面的交流(隠されたやりとり) ulterior transaction

交流パターンの一型で、社交レベルの交流と心理レベルの交流の両方が同時に行なわれるもの。

例えば、入院した患者が治療者に贈り物をしたり、それが効果だったりする場合である。

直線が示す言語による交流は、一見、明白なメッセージを伝えている。
これに対して点線(心理的レベル)は、「私を他の患者よりも、よくして欲しい」というCからのメッセージを送っている可能性がある。裏面的交流には、コミュニケーションの第3の原則が伴う。

すなわち「利身炎的交流による行動の結果は、社交レベルではなく、心理レベルで決定される」のである。

→やりとりの分析

 

裏面的交流

裏面的交流

リペアレンティング re-parenting

クライエントを発達段階のごく初期まで退行させて依存的状況(anaclitic situation)をつくり、共生的関係のなかで母親的ケアを与え、再び各発達段階を通過することによって人格の再統合をはかる治療法をいう。

TAの領域ではシフ,J(Sciff,J)が患児とともに生活したり、養子にとる方法で実践している。

本邦では、1960年代に、九州大学精神科において西園昌久が、薬物療法と精神分析療法を併用した「依存的薬物精神療法」(anaaclitic pharmaco-psychotherapy)を開発し、医師・看護婦のチームによるアプローチによって見るべき成果をあげ、内外に報告されている。
主要な治療機序は患者による治療者のとり入れと考えられている。

 

リペアレンティング

リペアレンティング

ラケット・システム racket system

アースキン,R(Erskin,R)とザルクマン,M(Zalcman,M)(1979年)がシステム理論の立場から、脚本が持続される過程を示すために作成した分析モデル。

後にアースキン,Rとモアサンド,J(Moursund,J)(1988年)によって改訂され、「脚本システム」とも呼ばれている。

ラケット・システムは“感情、思考、行動を含む(心身相関の)歪んだシステムで、個人が脚本を維持するために自ら強化しているもの”と定義される。

方法としては、脚本信条、幼時決断とラケット感情、ラケットの表出としての症状行動、空想生活、感情記憶などの心的要素が相互に作用しながら、脚本促進の目標のためにともに働いていることを理解する。
また、上記のそれぞれの部分の間で情報の収集、伝達、交換を行なうことで、自分の脚本をまとまりを持った全体の中で把握する、といった作業が中心となる。

ラケット感情 racket feeling

幼時に、親の愛情を得る手段として形成された一種の感情の条件反射で、その後の人生においても持続するもの。精神分析的に言えば、幼時に身につけた本能的感情的生活の歪みとなろう。

ラケット感情の性質をまとめると、

1.人がゲームを演じるとき、その結末として、きまって味わう不快感情

2.幼時に学習され奨励されたもので、成人の問題解決の手段としては不適切

3.自然な感情をカムフラージュして作られた人工的な感情

4.それに沈殿して入れ宇土、愛情や承認(ストローク)が必ず到来するという空想に基づいている

5.他人を変えようという企みが隠されている

6.この感情に支配されると、人は現時点に不釣合いな感情反応を示す

7.少しずつ積み立てられたり、その奥にひそむ真の感情が未処理なままに放置されると、次のトラブルへの準備をうながす

→結末感情

ラケット racket

個人が、自分でも意識しないまま周囲を操作して、自分の脚本を推し進めるお膳立てをすること。

ラケットには、ふつうラケット感情が伴う。TAでは、長年、ラケットとラケット感情が明確に区別されずに使われていたが、最近では両者は識別される。
ラケット感情は慢性で定型化された不快感情(いやな感じ)であり、ラケットは、自分でお膳立てしてその感情を味わう過程をいう。

幼時決断 early decision

幼時に自分、他人、世の中について、子供が出す結論をいう。

人生脚本に深く関係する幼児決断は、主として非言語的レベルで行なわれ、次のような特徴をもつ。

1.親の破壊的な力の元で生き残るための妥協(例:親のストロークを保持する)

2.具体的で魔術的な思考に基づく(例:死ぬと愛してもらえる)

3.全体的で大ざっぱな内容(例:二度と誰も信じない)

再決断派によると、脚本のもとになる禁止令は親の「子供の自我状態」(C)から子供のCに発信されるが、子供がそれを受け入れる(決断する)ときだけ、重要な意味をもつという。
また、子ども自身が自分で禁止令を与え、それを選択、決定することもある。
幼時決断を探って明確にした後、それを放棄して新たな問題解決方法を創造していくのが、再決断療法である。

→脚本分析

養育的な親 nurturing parent(NP)

保護的なPともいわれ、親の自我状態のうち親切、思いやり、寛容な態度を示す部分である。

子供や後輩をいたわり、励まし、親身になって面倒をみるのは、このPの働きである。
罰するよりは許し、ほめるという方針で指導する。
人の苦しみを我がことのように感じ取ろうとする保護的な、やさしい面を備えている。子供が養育的な親に育てられると、その子にも養育的な言葉や身振りを伴った、似たような自我状態が発達する。
しかし、このPも度が過ぎると、親切の押し売りになって、他人から敬遠されることもある。

→親の自我状態

 

養育的な親

養育的な親

やりとりの分析(交流パターン分析) transactional analysis

交流分析の四つの方法の一つで、二者の自我状態の間で取り交わされる刺激と反応を矢印で示し、分析することをいう。

すべての「やりとり」は次の三つのいずれかに分類される。

1.相補的交流:二者間の矢印が平行線になり、両者は緊張することなくコミュニケーションを続けるもの(例:情報の交換)

2.交差的交流:二者間の矢印は交差し、やりとりは発信者に戻らないかぎり緊張が高まって中断するもの(例:親子の断絶)

3.裏面的交流:表面のメッセージの裏に心理的メッセージが隠されている交流で、二者のやりとりは実線と点線の二つで描かれるもの(例:ホンネとタテマエ)

日常生活では一般に相補的交流が望ましいとされているが、それが退屈をもたらすほど長く続くときは、交差的交流で意図的に中断することができる。
交流分析では、裏面的交流が習慣化して、最後にきまって深いな感情をもって終るものを「ゲーム」と呼ぶ。

無条件のストローク unconditional stroke

相手の行為や価値に関係なく、相手の存在と人格そのものに対して与えられるストローク。

「頭がいいとか、容姿が優れているとか関係ない。
あなたが大事なんだ」など、相手のありのままを受け容れるストロークで、ロジャース,C.R(Rogers,C.R)が、カウンセリングにおける人格変容の要因としてあげた「無条件の肯定的尊重」と通じる。
また、「お前なんか生まれてこなかったら、よかったのだ」の類のように、無条件の否定的ストロークもある。

→ストローク

 

無条件のストローク

無条件のストローク

「無計画」式の脚本 The “open end” script

Pの指示を忠実に守って、義務を果たすことだけを目的に生きてきた人が、その後、どのように生活時間を構造化したらよいかわからなくなるケースに見られる脚本。

子育てが終わったり、定年退職を迎えた人が、生きる目的を喪失して、うつ病に陥る場合など。

→脚本分析

 

無計画式の脚本

無計画式の脚本