Author Archives: teamriyo

TEG(東大式エゴグラム) TEG egogram

東京大学心療内科によって1984年に開発され、1994年に改訂された質問紙法によるエゴグラム・テスト。

作成過程で多変量解析を用い、テストとしての妥当性と信頼性が十分に検討されており、心身医学の分野のみならず、健常者の性格傾向や対人関係における行動様式をみる目的でも広く活用されている。

TEGは60問からなり、標準化したスケールを用いているので、一般健常者集団の中で、各自の自我状態がどのような位置を占めるかがわかる。

また偏位尺度(D)と疑問尺度(Q)が含まれているので、テストに対する応答態度や防衛反応なども把握できる特徴をもつ。

→エゴグラム

 

[文献]

東京大学医学部心療内科編著:新版エゴグラム・パターン、金子書房、1995.

TAOK TAOK egogram

杉田(九州大学)、水野(岡山大学)によって開発された質問紙法のエゴグラム・テスト。

テストの特徴は自我状態と基本的構え(OK、not OK)を同時に測定し、この両面から個人の対人関係の様式をとらえる点にある。これによって、従来のエゴグラムで同じような形を示すような人たちが、実際の生活場面で異なった対人関係や適応状態を示す理由が明らかにされる。

TAOKは120問からなるリッカート・タイプの尺度であり、自我状態は主に行動レベルでたずね、基本的構えは主に態度レベルでたずねるようになっている。グラフは偏差値によって示され、虚偽尺度も加えられている。

→エゴグラム、OKグラム、基本的構え

対決 confrontation

治療者の言動によって、クライエントの脚本信条を現実と直面させること。

対決は攻撃的な介入ではなく、感情と情報を分かち合うことによって、治療者とクライエント双方に利益をもたらす建設的な行為をいう。

臨床的には、自他肯定的な交流を通して、クライエントが自分、他者、状況を値引きしているのを指摘するプロセスとなる。また、再定義交流(話題を変えること)に対処する場合もある。

→値引き、再定義交流

「その後」式の脚本 the “after” script

ものごとがしばらく順調に運んでいても、将来、破局や災難がやってくると予期して生きている人の脚本。

幸福は期限つきで味わうべきだ、というメッセージが働いている。

「定年まではよいが、その後はみじめな人生になるだろう」などと、不安をいだきながら人生を送っている人に見られる。

→脚本分析

セルフ・リペアレンティング self-reparenting

ジェイムス,Mが開発した“自分自身に対してよい親になる”方法で、自己再養育法と訳されている。

その理論と技法を記した彼女の著書『突破への道』(深沢道子訳)によると、プロセスの概要は次のようになる。

1.新たな肯定的なPの必要に気づく。

2.望ましくないPの診断、幼時の基本的欲求の確認。

3.親からの呪縛、禁止令を調べる。

4.親の人生スタイル(権威)と自分の人生スタイル(従順・反抗)の比較。

5.基本的欲求と欲望、ストレス、葛藤との関連を学習する。

6.変革に必要な自分の四つの力(身体、性格、知性、スピリット)に気づく。

7.創造性、直観の開発の方法を学ぶ。

8.良い親になるための契約(新しいPを使って、Cを大事にするためにAは何をするか)を結び、実行する。

ストローク経済の法則 stroke economy

スタイナー,Cは、子供にとってストロークが不可欠な欲求であることを知っている両親が、子供を意のままに支配するために、ストロークに関する制約的な規則を教え込むという仮説を立て、これをストローク経済の法則と呼んだ。法則は、

1.与えるストロークを持っていても、それを他人に与えてはならない。

2.欲しいストロークがあっても、それを他人に要求してはいけない。

3.欲しいストロークが来ても、それを受け取ってはならない。

4.欲しくないストロークが来ても、それを拒否してはならない。

の四つからなる。真の交流を回復するためには、これらの法則から解放される必要がある。

→ストローク

生活史的診断 historical diagnosis

幼児期に焦点を合わせた面接で、「あなたはどんな子供でしたか?」、「あなたの養育者はどんな人でしたか?」などの質問をすることで、クライエントの自我状態の行動面を検証する。

また、クライエントの行動から直感的に受ける印象をもとに、「今の行動から、幼児期のどんなことを思い出しますか」「ご両親のどちらがそんな行動をとりましたか」といった類を質問して、P、A、Cの行動的診断を裏付ける方法である。

 

【例】A

●両親ともほとんど感情的になったことはありません

●母は教師で、理性的でした

●百科事典を読むのが趣味でした

 

【例】FC

●母も私も歌うのが好きで……

●父は欲しいものがあると、どうしても手に入れる人でしたから、私も……

●父には無邪気なところがありまして……

ストローク stroke

ある人の存在や価値を認めるための言動や働きかけ。

交流分析では、人が生きるためにはストロークが欠かせないものと考える。交流はストロークのやりとりといえる。ストロークは身体、言語、心裡のレベルで交換されるが、一般に次の四つに分類される。

1.肯定的ストローク:愛撫する、褒める、ほほえむ、好意を示す、感謝するなど、それを受けると快的な気持ちになるもの。

2.否定的ストローク:なぐる、嘲笑する、非難する、皮肉る、ひねくれるなど、それをもらうと不快感や苦痛を味わうもの。

3.条件つきストローク:相手の行為や業績と引き換えに与えるもの。

4.無条件のストローク:その人の存在や人格そのものにたいして与えられるもの。

また、ストロークに関して次の法則がある。

1.人は肯定的ストロークが不足して心理的飢餓状態になると否定的ストロークを求めて補う。

2.人は変容に対して肯定的ストロークを受けたことへの反応として、変化、成長する。

 

ストローク

ストローク

 

 

ストッパー stopper

ミニ脚本の進行過程の第2段階の働きで、ドライバーが引き金になって作動する禁止令をいう。

例えば、親が子供に対し、内心で「お前はOKでない」という態度で、「急げ!」というドライバーの言葉を発するのが第一段階である。

すると、第2段階でこのドライバーが「成功してはならない」という禁止令を始動させ、「急いては事を仕損ずる」という行動を促す。このようにドライバーの反作用として、本来の指示の達成を妨げる働きをするのでストッパー(阻止するもの)と呼ばれる。

→ミニ脚本、禁止令

スタンプ stamps

「これだけ怒りをがまんしたのだから、お前を殴るのは当たり前だ」といった例のように、自分の行動を正当化するために溜め込む感情をいう。

スタンプとは、もともと米国のスーパーマーケットが客にサービスする色つきの小さな景品券(シール)で、それを貼ったノートが一杯になると現品に交換できるものをいう。

日本ではこの種のスタンプ集めは日常化していないので、銀行や郵便局の積立預金が満期になるのを考えるとわかりやすい。しばらく積み立てられて、後日、行動化される感情は、

1.不快感情(ラケット感情)

2.良い行動

の2種類に交換される。前者は冒頭の例のようなゲームの結末感情であり、後者は定年退職後、やっと短い旅行に出かける人などに見られる。スタンプは否定的な構え(not OK)を持ち、自分の行動に責任をとろうとしない人によって集められる。